オオヤマツミは、山を神格化した神様です。
日本の代表的な山の神様として、全国の神社で祀られています。
また別名の和多志大神は海の神を表すことから、山と海の両方を司る神ともいわれています。
どんな神様?
オオヤマツミの名前は「大いなる山の神」という意味です。
日本人は古代から自然の中に神々を祀り、富士山や三輪山に代表されるように、山そのものを神聖なるものとして崇拝してきました。
山は私たちに生きていく為に必要な水をもたらし、生活に必要な資源を授けてくれます。
限りない恵みを与えてくれる一方で、時には災害を引き起こし、命もを奪う恐ろしい存在でした。
人々は大いなる自然の中に神々を見出し、畏れ敬いながら祈りを捧げてきました。
そして日本各地で自然発生的に、その土地の人々の暮らしに根付いた「山の神」を祀っていくようになります。
例えば農耕をして暮らす人々にとっては田んぼの神として、山で狩猟や炭焼き、きこりなどで生計を立てる人々にとっては自分たちを守る守護神として、その祀り方は様々です。
オオヤマツミは、そんな山の神々の最も代表格的存在です。
そのため、全国にある山祇神社や三島神社、山神社の主祭神として祀られています。
漁業・海上守護・渡航の神様
ちなみに山の神として日本各地の神社で祀られているオオヤマツミですが、一部では海の神様としても信仰されています。
オオヤマツミの別名は「和多志大神(ワタシノオオカミ)」。
和多志大神のワタは「海」、シは「司る」という意味です。
そのため「海を司る神」あるいは「渡し大神」ともいわれ、海上渡航の神様としても信仰されています。
全国にあるオオヤマツミを祭神とする山祇神社の総本社は、愛媛県今治市にある「大山祇神社」です。
大山祇神社は瀬戸内海に面する大三島に鎮座している神社で、そのことから海上守護の神様として祀られるようになりました。
なぜ山の神が、海の神として祀られているかについては、諸説ありハッキリしていません。
ですがオオヤマツミは、「山の神であると同時に、海の神でもある」と神話の中に記されていたりもするので、広い意味で「自然の中に宿る神」として信仰されるようになったのかもしれません。
武運を授ける神様
そして総本社・大山祇神社のある愛媛県の大三島は、かつて水運交通の要として栄え、村上水軍の拠点でもありました。
日本最大の海賊として強大な海上勢力誇った戦闘集団で、各地の諸大名たちからも一目置かれる存在だった村上水軍。
そんな彼らの守護神だったのが、海神・オオヤマツミです。
「海の大名」とさえも称された村上水軍の守護神は、やがて武家にも広く信仰されるようになりました。
農業・林業・鉱山業・酒造の神様
オオヤマツミは山や自然に関する幅広い分野で、様々な力を授けてくれる神様です。
農業や林業だけに留まらず、酒造の守護神としても信仰されています。
酒造業の神というのは、神話の中で神々に酒をふるまったエピソードからという説や、酒造りを守護する土着神(その土地を守る神様)が山の神・オオヤマツミと習合したなど、色々いわれています。
日本酒造りに欠かせないお米=農業と結びつくことから、酒造りを守護するのは山の神として考えられるようになったのかもしれませんね。
鉱山業では山で掘削を行ったり、谷を塞いでダムを造ったりすることから、山の怒りを鎮めてくれる守護神としてオオヤマツミを祀ることが多いようです。
オオヤマツミのご利益は?
- 農産守護
- 林業守護
- 鉱山業守護
- 豊漁・漁業守護
- 航海守護
- 商工業の発展
- 酒造業守護
オオヤマツミの別称
- 大山津見神(おおやまつみのかみ)
- 大山積神(おおやまつみのかみ)
- 大山祇神(おおやまつみのかみ)
- 大山罪神(おおやまつみのかみ)
- 酒解神(さけとけのかみ)
- 和多志大神(わたしのおおかみ)