タケミカヅチは、地震の神様です。
また雷神、剣の神様でもあり、全国各地の神社で祀られています。
戦いに強く、力も強いため、神話の中で様々な活躍をしている神様です。
タケミカヅチはどんな神様?
父のイザナギに斬られた火の神様・カグツチの血から生まれた剣の神様、それがタケミカヅチです。
「国譲り」の神話の中で、アマテラスの子孫に地上を譲るように交渉するために、次々に天上界から神様たちが地上に行く話があります。
どれも失敗に終わる中、最後に遣わされたのがタケミカヅチでした。
タケミカヅチは逆さに立てた剣の上にあぐらをかいて座り、地上を治めていたオオクニヌシに国譲りを迫りました。
無事に国譲りの交渉をまとめたタケミカヅチは、茨城県の鹿島市の鹿島神宮に鎮座しています。
地震が起こらないように抑える神様
ちなみに天上界に戻らず、地上に鎮座したタケミカヅチ。
実は地上に残ったのは、地震が起こらないように、ナマズを要石(かなめいし)で押さえる為といわれています。
日本は昔から地震の多い国です。
人々は地震の原因は、地中に棲む巨大ナマズが暴れることで、地震が発生していると考えていました。
タケミカヅチはナマズが暴れないように押さえつけ、人々を地震から守ってくれる神様とされています。
タケミカヅチの要石守
安政2年(1855)に発生した「安政の大地震」は、マグニチュード6以上と推定され、1万人以上の人々が被害に遭ったといわれています。
余震が続く中、江戸の人たちのよりどころとなったのは、地震の神様でした。
ナマズを懲らしめる神・タケミカヅチを描いた「鯰絵(なまずえ)」と呼ばれる絵が、お守りとして大流行します。
一方で、「神様が要石を押さえているはずなのに、どうしてナマズが暴れたのか?」ということについては、江戸の人たちは次のように考えました。
「地震が発生した神無月(10月)は、神様が年に1度出雲に集まって会議をしている時期。地震の神様もちょうど留守なのだから、ナマズが暴れたのも仕方がない。」
ちなみに、要石は現在も鹿島神宮の境内に祀られており、タケミカヅチの力を宿した「要石守」も授与されています。
武神・雷神・剣の神様
タケミカヅチ(建御雷神)の神名の「建」は勇ましいという意味があり、名前そのものが音を立て鳴り響く雷を表しています。
タケミカヅチの強さを表す、こんなエピソードもあります。
「国譲り」の神話で、オオクニヌシに国譲りを迫った時のことです。
国譲りに納得しないオオクニヌシの息子タケミナカタは、タケミカヅチに力比べを挑みました。
タケミナカタがとんでもなく大きな岩を投げ捨て、タケミカヅチの手を取り投げ飛ばそうとしたところ、タケミカヅチの手は氷や剣に変身。
タケミナカタが驚いて手を引こうとすると、今度は逆にタケミカヅチがタケミナカタの手を取り、軽くひねって投げ飛ばしてしまいました。
タケミナカタは恐ろしくなり、出雲から信濃国(現在の長野県諏訪湖)まで逃げてしまいました。
ちなみにこの伝説が、「相撲」のルーツといわれています。
また「神武東征」という日本建国の物語の中では、剣となって神武天皇を助けたという伝説も。
とにかく戦いに強く、力も強いタケミカヅチは戦いの神様として、全国各地の神社で祀られています。
タケミカヅチのご利益
- 武芸守護(特に剣道・剣術)
- 諸芸上達
- 必勝祈願
- 五穀豊穣
- 家内安全
タケミカヅチの別称
- 建御雷神(たけみかづちのかみ)
- 建御雷之男神(たけみかづちのおのかみ)
- 建布都神(たけふつのかみ)
- 豊布都神(とよふつのかみ)
- 武甕槌神(たけみかづちのかみ)
- 武甕雷男神(たけみかづちのかみ)
- 建雷命(たけみかづちのみこと)
- 鹿島神(かしまのかみ)