日本の神さま・神話

タマヨリヒメ(玉依姫)

タマヨリヒメは「玉依姫」と書きます。「玉依」は、「霊憑(たまより)」からきたとされ、巫女的な霊能力を持つ女神のことを総称して、玉依姫と呼ぶと考えられています。

つまりタマヨリヒメとは、神の力を宿すことが出来る特別な女性のこと。

ふくれん
ふくれん
今でいうシャーマン的なイメージ。

一般的によく知られているのが、神武天皇の母として知られる「タマヨリヒメ」です。

玉依姫ってどんな神様?

日本神話では「海幸彦と山幸彦」という昔話に、タマヨリヒメは海の神・ワタツミの娘として登場します。

「海幸彦と山幸彦」では、タマヨリヒメの姉・トヨタマビメが物語のヒロイン。

まずはタマヨリヒメの姉の話からしましょう。

海幸彦と山幸彦神話とトヨタマビメ

昔、地上には天孫の子(アマテラスの子孫)として生まれ育った兄弟がいました。

兄の名はホデリ(海幸彦)、弟の名はホオリ(山幸彦)。

ホデリは海で魚を釣り、ホオリは野山で狩りをして暮らしていました。

あるとき海を眺めていたホオリは、自分で魚が釣ってみたくなり、兄・ホデリに頼んで釣り針を借りることにしました。

ホオリ
ホオリ
兄さん、僕も釣がしてみたい。釣り針貸して!
ホデリ
ホデリ
貸すのは構わないけど、大事なものだから失くすんじゃないぞ。

ホオリは海に行き、意気揚々と釣りを始めました。

ですが何度やっても魚が釣れません。

ホオリ
ホオリ
なんだ、全然釣れないじゃないか・・・あっ!!ヤバイ!!

ホオリは慌てました。あろうことか、兄の大事な釣り針を海に落としてしまったのです。

仕方なくホオリは兄の元に行き、釣り針を落としてしまった事を告げました。

ホデリ
ホデリ
な・・なんだと!!釣り針はオレの命より大事なもの!弟でも絶対に許さない!!

もちろん兄は怒りました。

広い海の中から釣り針を探しだすことは出来ず、ホオリが途方に暮れていると、潮の神シオツチがそこにやってきました。

ホオリは針を失くしたこと、兄を怒らせたことをシオツチに話すと、シオツチが言いました。

シオツチ
シオツチ
では海の神・ワタツミの娘に相談してみなされ。きっと良い知恵をくれますぞ。
ホオリ
ホオリ
それは本当ですか!?

ホオリは早速、海の中にあるワタツミの宮殿に向かいました。

するとそこには、とても美しい姫・トヨタマビメがいました。

ホオリ
ホオリ
なんと美しい・・・

ホオリは美しいトヨタマビメにたちまち心奪われ、2人はやがて恋をし、結婚しました。

海の宮殿で幸せに暮らしていた2人でしたが、ある日無くした釣り針を見つけたホオリはなんと地上に帰ってしまいます。

ホオリ
ホオリ
これは兄さんの釣り針だ!帰って兄さんに届けなくては!!
トヨタマビメ
トヨタマビメ
ちょっと、あなた・・・!私のことはどうするの!?

驚いたのも束の間、更に驚いたことにトヨタマビメは妊娠していました。

そしてトヨタマビメは決心します。

トヨタマビメ
トヨタマビメ
天孫の子を海の中で産むわけにはいかないわ!

トヨタマビメは夫のそばで出産することを決め、地上に向かいました。

いよいよ出産の時を迎え、トヨタマビメは夫にいいました。

トヨタマビメ
トヨタマビメ
子を産むときの姿は決して見ないでね
ホオリ
ホオリ
わかった!約束しよう!

ところが好奇心を抑えられないホオリ、つい約束を破り覗いてしまいます。

するとそこに、巨大なサメが苦しがってのたうち回っているではありませんか!

トヨタマビメの本当の姿は、サメだったのです。

ホオリ
ホオリ
マジで!ぼくの奥さん、サメじゃん!!
トヨタマビメ
トヨタマビメ
見ないって約束したのに・・・見たわね!!

姿を見られたトヨタマビメは夫の裏切りに悲しみ、産まれたばかりの子を残して、海に帰ってしまいました。

トヨタマビメ
トヨタマビメ
怒って帰ってきたはいいけど私の子が心配だわ・・・。私の代わりにあなた、私の子を育ててくれない?
タマヨリヒメ
タマヨリヒメ
姉さん・・・、なんて理不尽!でも了解したわ!

海に帰ったトヨタマビメは子どもを心配し、自分の代わりに妹・タマヨリヒメに子育てを頼んだと伝わっています。

神武天皇の母であるタマヨリヒメ

さて、ここでようやく登場するのがタマヨリヒメ。

タマヨリヒメは姉の代わりに、子供を立派に育て上げます。

男の子の名は「ヒコナギサタケウガヤフキアエズノミコト」。宮崎県にある鵜戸神宮の主祭神です。

やがて成人した男の子は、育ての母・タマヨリヒメを妻に迎えます。

ふくれん
ふくれん
え・・・?育ての母と・・・?

トヨタマヒメは子どもを4人産み、そのうちの1人が「神武天皇」だとされています。

実はたくさんいる?タマヨリヒメ伝説

日本神話のタマヨリヒメは海の神・ワタツミの娘であったり、龍神の娘であったり、ときにはシャーマン的な存在として様々な形で神話に登場します。

加茂伝説では、京都の下賀茂神社の主祭神であるカモタケツミの娘とされ、神の子であるワケイカヅチの母とされています。

タマヨリヒメは子育て・子孫繁栄の神様

タマヨリヒメを祭神とする神社は、水や緑に縁のある場所が多いようです。

各地では様々な玉依姫伝説がありますが、水に関連する事が多いので、水の神様・海の神様だと考えられています。

また神様の子どもを産んだり、育てたりしていることから、子育て・子孫繁栄の神様として多くの神社で祀られています。

タマヨリヒメのご利益は?

  • 子宝
  • 安産守護
  • 豊作豊漁
  • 殖産興業
  • 商売繁盛
  • 開運・方位除け
  • 悪病・災難除け