ウカノミタマは、穀物・食物を司る神様です。
商売繁盛にご利益があるといわれる稲荷神社に祀られている神様で、「おいなりさん」の愛称で親しまれています。
もともとは穀物の神様でしたが、やがて商人・職人を中心に信仰され、商売繁盛の神様として信仰されるようになります。
どんな神様?
ウカノミタマはアマテラスの弟・スサノオと、山の神様であるオオヤマツミの娘・カムオオイチヒメとの間に生まれました。
ウカノミタマの「ウカ」とは「うけ=穀物」のことで、「ミタマ」は「御魂」を指しています。
つまり穀物や食べ物に宿る神様という意味を持つのが、ウカノミタマです。
ウカノミタマは、もともとは食物神として信仰されていました。
それがやがて、稲荷神と呼ばれるようになります。
稲荷神と呼ばれるウカノミタマ
稲荷神は「いなりのかみ」、または「いなりしん」と呼びます。
この稲荷神をお祀りするのが稲荷神社です。
稲荷神社の総本社・伏見稲荷大社
稲荷信仰は、和銅4年(711)に京都から始まったとされています。
昔、京都の豪族・秦氏(はたうじ)の祖先に、「秦伊呂具(はたのいろぐ)」という名の裕福な暮らしを送っていた男性がいました。
ある時、丸い餅を的にして弓をかけたところ、突然、餅が白鳥になって飛び立っていきました。
秦伊呂具は驚き、急いで白鳥が降り立った所に行くと、そこには立派な稲が実っていました。
秦伊呂具はこの出来事を神託だと考え、この地に稲・穀物の神様を祀る「伊奈利社(いなりしゃ)」をつくります。
これが全国に3万社あるといわれる、稲荷神社の総本宮・京都の伏見稲荷大社の始まりと伝えられています。
稲が生っていたので「稲生り=イナリ」と呼ばれるようになり、次第に「稲荷」の文字があてられたようです。
やがて稲荷神とウカノミタマは、同じ食物神として同一視されていきます。
ちなみに稲荷神社といえばキツネで、神社のいろいろなところにキツネが据えられています。
そのためキツネ=稲荷神と思われがちですが、キツネは「神使(しんし)」と呼ばれる神様のお使いです。
商売・仕事運の神様
稲荷神社に祀られている稲荷神は、もともと穀物の神様であるウカノミタマ。
ですが京都を中心に、信仰する商人・職人が増えていくと、五穀豊穣が商売繁盛に繋がり、いつしか商売繁盛にご利益がある神様として知られるようになりました。
稲荷神社の数が急激に増えたのは、江戸時代に入ってからです。
商人たちの間で稲荷信仰が流行し、次々と稲荷社を建てていきました。現在も路地などで稲荷の社を見かけるのはその名残です。
ウカノミタマの別称
- 宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)
- 宇迦能魂命(うかのみたまのみこと)
- 倉稲魂命(うかのみたまのみこと)
- 稲荷大明神(いなりだいみょうじん)
- 御食津神(みけつかみ)
- 御饌津神(みけつかみ)
- 三狐神(みけつかみ)
- 宇賀御魂神(うかのみたまのかみ)
- 大物忌神(おおものいみのかみ)